VDT症候群
オフィスへのパソコンの普及とともにVDT(Visual Display Terminals;画像表示端末)症候群と呼ばれる健康被害が広がっています。同じ姿勢で端末を見つめ続ける作業を強いられることが原因で、目の疲れ、首や肩の痛み、頭痛や不眠、うつ病など症状は幅広く、長期休養を余儀なくされるケースもあります。リストラが進んで長時間労働が増えるなか、被害に拍車がかかっています。厚生労働省は一昨年、VDTの作業指針を改定しましたが、実施状況はまだまだのようです。
症状は通常は1分間に20回程度のまばたきが、VDT作業中は眼をこらして端末を見つめるため、6回ほどに減ります。眼が酷使され、涙の分泌が減って成分が変質する「ドライアイ」が発症します。眼球の表面が乾いて角膜が傷つき、充血や不快感が続き、感染症の危険性も高まります。
VDT症候群のなかでも多いのはどんな症状でしょうか?下の図は、厚生労働省が平成20年に実施した「技術革新と労働に関する実態調査」による結果データから作成したものです(複数回答)。
1位は「目の疲れ・痛み」で、なんと全体の9割を占めています。2位は「首、肩のこり・痛み」で、これも7割をこえており、相当数の人に見られる症状であることがわかります。
「技術革新と労働に関する実態調査」平成20年厚生労働省実施
それでは、VDT症候群を防ぐためにはどうしたらよいのでしょう?ポイントは長時間のパソコン作業を避けることと、作業環境を整えることです。さっそく自分の作業スタイルを見直してみましょう。
1時間作業したら10~15分休憩をとるようにする。その際、体を軽く動かしたり、遠くを眺めるなど、リフレッシュを。
ディスプレイの明るさは室内と同じくらいに調整する。位置は目よりやや下の位置に。
キーボードを置くデスクは奥行きのあるものを。作業時に腕が浮くようなものを選ばない。
椅子にも配慮を。深く腰かけられ、背もたれ部分が十分なものがよい。高さは、足裏全体が床につくくらいがベスト。
意識的にまばたきをする。
VDT症候群は、現代社会においては、なってしまわれる方が非常に多い症候群と言えます。 症状の程度にもよりますが、まず、点眼薬、内服薬での加療を行います。 また、その方個人に必要と考えられる眼鏡の処方をさせていただき、院内に設置されている、アコモドメーターやワック等の機器を使用し、症状の軽減を図ります。