近視抑制外来
近視抑制外来
近視は、メガネなどで矯正すれば視力が確保できるため、これまであまり深刻な問題として捉えられてきませんでした。しかし、近年の研究によると、近視が将来的に目の病気に大きな影響を与えることが明らかになってきました。
例えば、軽度の近視であっても、近視がない場合と比較すると緑内障になるリスクが高いことがわかっています。近視の度数が上がるほど、目の病気にかかるリスクも増加するため、当院ではお子さまへの近視抑制治療を推奨しております。
このページでは、近年増加傾向にある子どもの近視に焦点を当て、当院で取り扱っている効果的な治療法をご紹介します。
近視の症状等について詳しく知りたい方は、以下の近視のページをご覧ください。
子どもの近視の現状
近年では裸眼視力が1.0未満の子どもの割合が増えています。2020年の調査では高校生、中学生の6割近く、小学生でも3割以上が裸眼視力1.0未満という結果でした。
最近では、スマートフォンをはじめタブレットの利用や、テレビゲーム等の影響で、近くのものを見る機会が増えています。正しい治療と普段の生活環境の見直しで近視になる前に予防しましょう。
成長と発達
生まれたばかりの赤ちゃんの視力は、明かりがぼんやりとわかる程度のものです。赤ちゃんの目は小さくて眼軸長(目の奥行き)が短く、遠視の状態です。
成長に伴って視力は徐々に発達していき、眼軸長が伸びて正視になっていくと同時に、6才ぐらいまでの間に網膜や視神経も発達していきます。
成長する過程で、目の構造が自然に変化し、眼軸が長くなることがあります。これは通常の成長過程の一部ですが、過度に伸びると近視になる可能性があります。
近視の将来への影響
近視の多くは学童期に発症し、小学校4~5年生にかけて進行が著しく、30歳頃まで進行することもあるため、子どものうちに生活環境の見直しをおこない、予防することが大切です。
ただ、近年、近視が強い人は大人になってからも眼軸が伸び、近視が進みやすいことがわかってきました。また、近視が強くなると、網膜剥離や網膜変性など失明につながるような眼疾患のリスクが高くなることも報告されています。
次のような子どもは、
近視のリスクが高いといわれています
- 親が近視
- 外遊びをしない
- 寝る時間が遅い
- 30cm以内の距離でテレビを見たり、本を読む
- スマホ、ゲームを1時間以上つづけてする
眼軸の伸びは、近視の主な原因の一つです。特に成長期にある子どもの場合、眼軸が伸びないよう、適切な視力管理と健康的な生活習慣が重要です。
定期的な視力検査と適切な休息、野外活動を通じて遠くを見る機会を増やすことが、近視の進行を抑制するのに役立ちます。
当院での近視抑制治療
近視の程度により治療法も異なります。当院では、ご紹介した治療を組み合わせた様々なプランをご用意しており、お子さまにあった最適な治療プランでサポートいたします。
WOC(ワック)
目の緊張を緩和させ、近視の進行を遅らせることを目的としています。機器内の風景画像を5分眺めるだけで、遠くの風景を長時間眺めているのと同じ効果があり、眼の疲れもとることができます。
通電治療
両目の周辺部の皮膚に、微弱電流を流し毛様体筋の緊張をほぐす治療です。定期的に行う事で効果を感じやすい治療です。
低濃度アトロピン点眼
近視の進行を抑制する効果のある点眼薬です。保険診療にて処方される点眼よりも効果が強く、近視の進行を遅らせることができます。1日に1回就寝前に使用します。
オルソケラトロジー
オルソケラトロジーは、近視の進行を抑制するのに効果があります。寝ている間に特殊な形状のレンズを装用し角膜の形状を変化させ、近視を矯正する方法です。
就寝時に装用することで視力が矯正され、昼間は裸眼で過ごすことができます。
日常生活でできる近視予防
テレビを見たり
スマートフォンやゲームをする時
画面との距離や姿勢に気を付ける
スマートフォンやゲーム、本や書類などと目の距離を30cm以上離して見ましょう。片方の目ではなく両目をつかって左右均等な距離を保ちましょう。画面に集中して前かがみになっていると、画面との距離が近づいてしまします。また、目だけでなく肩周りや全身が疲れやすくなります。
作業時間
スマートフォンやゲームに限らず、近くを見る作業は1時間に5~10分程度は休むようにしましょう。休憩の時には目を閉じて休めたり、遠くをぼんやり眺めることがおすすめです。
明るさ
テレビやスマートフォンのディスプレイの明るさは室内と同じくらいに調整しましょう。
適度な屋外活動
2時間以上の外遊びが理想的
屋外にいる時間が長い子どもは、近視を発症する割合が低いことがわかっています。理由として考えられているのが、日光です。
太陽光に含まれる「バイオレットライト」(紫外線の手前にある波長の光)が近視の進行を抑える可能性があり、近視の進行を抑制する遺伝子が活性化されることがわかっています。光は反射するため日陰にいてもバイオレットライトを浴びることができます。
1日2時間以上屋外で活動を目標に、紫外線や熱中症に注意して屋外で過ごす時間を増やしましょう。
目に良い食べ物を摂る
クロセチン
近視の進行抑制や目の疲労回復に効果があると言われている「クロセチン」。食品だとサフランや栗きんとんたくあんに含まれています。食品で摂るのが難しい場合はサプリメントもおすすめです。
アスタキサンチン
エビや鮭に含まれる「アスタキサンチン」は非常に抗酸化力が強く、ピント調整力を改善する効果が期待できます。ピント調整力の改善に伴い、肩こりや目の奥の痛みなども改善されたという報告もあります。