角膜感染症
角膜感染症とは
角膜はコラーゲンから成る厚さ0.5mmほどの透明な膜で、いわゆる“黒目”と呼ばれています。この角膜が様々な原因により、炎症を起こすのが角膜感染症です。
通常、角膜の表面は角膜上皮という膜と涙で守られており、簡単に細菌や微生物が侵入できないような構造になっています。しかし、角膜上皮に傷が入ると細菌や微生物が角膜実質に侵入、繁殖し、炎症が引き起こされてしまいます。
角膜感染症の症状
角膜感染症では目の痛み、目のゴロゴロ感、しろめが赤くなる、涙がポロポロ出る、まぶたが腫れるといったような様々な症状があります。酷くなると、角膜が白く濁って視力が低下することもあります。
症例1
黒目（角膜）と白目（結膜）の境に細菌が侵入し、感染症をおこしたものです。
症例2
乾燥性の角膜炎と結膜炎が進行して角膜上に糸状角膜炎をおこしたものです。
角膜感染症の原因と症状
角膜感染症の原因は主に細菌やカビ、ウイルスや微生物が角膜実質に感染し、炎症を起こしている状態です。
基本的には両目ではなく、片方の目に症状がでます。
角膜を守る角膜上皮は、通常は丈夫な構造をしています。しかし、ゴミ、砂、コンタクトレンズ装用、ドライアイなどにより角膜に傷が入ったり、ステロイド剤の使用によって目の修復機能を抑えてしまったりなど、様々な原因によって角膜実質に細菌や微生物が感染してしまうと、炎症が引き起こされてしまいます。
細菌
細菌によって起こる角膜炎です。ゴミや砂などの異物が目に入ったり、コンタクトレンズの装用で角膜に傷がついたりしたときに起こります。放置すると失明の可能性があります。
治療方法
細菌性角膜感染の場合は点眼薬や眼軟膏での治療を行います。症状が重症の場合、点滴加療を行う場合もあります。
カビ（真菌）
カビ（真菌）によって起こる角膜炎です。外傷、ソフトコンタクトレンズの連続装用、ステロイド剤の長期点眼などによって起こることがあります。この角膜感染症は症状が出るまでに比較的長い日数がかかります。
治療方法
点眼薬、内服薬での治療を行います。
アカントアメーバ角膜炎
池や沼などの淡水に広く分布するアメーバという目に見えない微生物によって起こる角膜炎です。これはコンタクトレンズ装用者の中で起こりうる角膜感染症です。
日常の手入れに問題があり、アメーバにより汚染されたコンタクトレンズを装用することにより起こります。夜も眠れないほど痛みを生じます。
治療方法
真菌性角膜感染と同様に、点眼薬、内服薬での治療を行います。最近は、コンタクトレンズの無理な使用に伴う、アカントアメーバ角膜炎がとても問題になっています。ご自身のコンタクトレンズの取り扱い方法に不安がある場合は、すぐにご相談ください。
角膜ヘルペス
ヘルペスウイルスの多くは乳幼児の頃に初感染を起こし、身体の中の神経組織に潜むようになります。一旦、神経組織に潜んできたウイルスは、発熱、ストレスなどをきっかけにして再び活動を開始し、角膜へ移動して角膜炎を起こします。これが角膜ヘルペスです。抗ウイルス剤により、1～2週間以内で治りますが、その後も再発の可能性があります。
治療方法
眼軟膏、内服薬での治療を行います。症状の変化によっては点眼薬の追加を必要とします。
